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主に米国株投資で配当金生活を目指しています。

外国税額控除の計算方法

今は確定申告シーズンではありませんが、「外国税額控除」についてまとめたい気分になったので、まとめておこうと思います。

 

そもそも「外国税額控除」とは…

 

国外で生じた所得について外国の法令で所得税に相当する租税(以下「外国所得税」といいます。)の課税対象とされる場合、日本及びその外国の双方で二重に所得税が課税されることになります。
この国際的な二重課税を調整するために、一定額を所得税の額(一定の場合には、所得税の額及び復興特別所得税の額)から差し引くことができます。これを外国税額控除といいます。

 

No.1240 外国税額控除|所得税|国税庁

 

租税条約により、国外で課税された外国所得税の全部または一部を返還してくれるのが、外国税額控除という制度です。

これは確定申告しないと受けることができません。

 

米国株投資家にとって避けては通れないこの外国税額控除ですが、控除額の計算方法がやけに複雑です。

おそらく簡単に全額返還できないようにするためでしょう。国もケチです。

 

ということで今回は、外国税額控除の詳しい計算方法と、実際にどれくらいの税金が返ってくるのかという例を紹介したいと思います。

 

 

国税額控除の計算方法

計算方法は国税庁のサイトに記載されているのですが、わざとかよと思うくらいに分かりにくいです。

 

国税額控除には「控除限度額」というものがあり、まずはこれを計算しないといけません。

そして実際に返ってくる税金は、この控除限度額の枠内に限られます。

 

控除限度額は、「所得税」、「復興特別所得税」、「道府県民税」、「市町村民税」の4つの税金に対して計算され、最終的な限度額はこれらの合計になります。

 

控除限度額の計算

 

1. 所得税

国税額控除は、「所得税の控除限度額」が基本となります。

どれくらいの税金が返ってくるかは、下記の式で計算される所得税の控除限度額で大体分かります。

 

 

所得税の控除限度額 = その年分の所得税の額 ×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額) 

 

 

上の式で、「その年分の所得税の額」と「その年分の所得総額」は定義がはっきりしているので、特に迷うことはないと思います。

それに、これらは確定申告のときに計算されますしね。

 

しかし、「その年分の国外所得金額」にはどこまで含めていいのか少し分かりにくいと思います。

 

ちなみに国税庁の説明では…

 

「その年分の国外所得総額」とは、純損失の繰越控除や居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用前の、その年において生じた国内源泉所得以外の課税対象となる総所得金額、分離長期(短期)譲渡所得の金額(特別控除前の金額)、株式等に係る譲渡所得等の金額上場株式に係る配当所得の金額先物取引に係る雑所得等の金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額をいいます。

 

No.1240 外国税額控除|所得税|国税庁

 

株だけに限って言えば、外国株の配当所得と譲渡所得が含まれるようです。

外国所得税が取られる配当金だけが含まれるのかなと勝手に思っておりましたが、売却益も含まれるようですね。

 

ちなみに特定口座の場合は、「その年分の国外所得金額」に含める配当金は、「特定口座年間取引報告書」を見ればすぐに分かります。

 

f:id:tsubuinvestment:20170507101845p:plain

 

上の「特定口座年間取引報告書」で、赤枠で囲っている⑧と⑭が、「その年分の国外所得金額」に含められる配当金になります。

ということは、外国所得税のかからない英国株ADRの配当金ももちろん含めてOKですし、外貨建MMFの分配金なんかも含まれます。

 

外国株の譲渡所得については、配当金みたいな便利な明細はないので、自分で作るしかないようですね。

 

dream-kobe.jp

 

外国株の売却益がある場合は、「その年分の国外所得金額」に入れたほうが得ですが、売却損がある場合は、入れると損になります。

売却損を敢えて国外所得に含めないのは、脱税行為ですかねやっぱり?

この辺私もあまり自信がないので、詳しい方がいれば教えてほしいです。

 

 

2. 復興特別所得税

外国所得税の額が所得税の控除限度額を超過している場合は、さらに復興特別所得税から控除します。

「復興特別所得税の限度額」の計算は所得税のときとほぼ同じです。

 

 

復興特別所得税の控除限度額 = その年分の復興特別所得税額 ×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)

 

 

復興特別所得税所得税の2.1%なので、復興特別所得税の限度額は大した額にはならないです。

 

 

3. 道府県民税・市町村民税(住民税)

まだ控除しきれない場合は、さらに住民税からも控除されます。

道府県民税の控除限度額」および「市町村民税の控除限度額」は下記の式で計算されます。

 

 

道府県民税の控除限度額 = 所得税の控除限度額 × 12%

市町村民税の控除限度額 = 所得税の控除限度額 × 18%

 

 

最終的な控除限度額は、「所得税」、「復興特別所得税」、「道府県民税」、「市町村民税」の4つの限度額の合計になります。

 

また、余った控除枠(控除余裕額)や、控除しきれなかった分(控除限度超過額)は、3年間繰り越しができます。

 

 

計算例

モデルケースを設定して、外国税額控除でどれくらいの税金が返ってくるのかを具体的に見てみようと思います。

 

今回はサラリーマンが米国株に投資している場合を考えます。

簡単化のため、以下の仮定を設定します。

 

  • サラリーマンで給与収入がある
  • 控除は給与所得者控除と基礎控除のみ
  • 株は外国所得税が10%の米国株のみ
  • 配当金のみを考慮し、譲渡所得はなし
  • 配当金は申告分離課税を選択(所得税15.315%)

 

ケース1

しがないサラリーマンの場合

 

  • 給与収入300万円、配当収入30万円(1000万円を利回り3%で運用)、外国所得税3万円

 

細かい計算過程は省略します。

 

給与収入に対する所得税

所得税:77,000円

・復興特別所得税:1,617円

 

配当収入に対する所得税

所得税:45,000円

・復興特別所得税:945円

 

控除限度額

所得税の控除限度額 : 16,486円

・復興特別所得税の控除限度額:346円

道府県民税の控除限度額:1,978円

・市町村民税の控除限度額:2,968円

・合計:21,779円

 

控除限度額が外国所得税の30,000円を下回っていますので、この場合は全額返ってきません。残念。

 

 

ケース2

エリートサラリーマンの場合

 

  • 給与収入1000万円、配当収入30万円、外国所得税3万円

 

給与収入に対する所得税

所得税:1,070,600円

・復興特別所得税:22,483円

 

配当収入に対する所得税

所得税:45,000円

・復興特別所得税:945円

 

控除限度額

所得税の控除限度額 : 41,319円

・復興特別所得税の控除限度額:868円

道府県民税の控除限度額:4,958円

・市町村民税の控除限度額:7,437円

・合計:54,582円

 

控除限度額が外国所得税の30,000円を上回っていますので、全額返ってきます。やったね。

 

 

ケース3

底辺フリーターの場合

 

  • 給与収入120万円、配当収入30万円、外国所得税3万円

 

給与収入に対する所得税

所得税:8,500円

・復興特別所得税:179円


配当収入に対する所得税

所得税:45,000円

・復興特別所得税:945円

 

控除限度額

所得税の控除限度額 : 18,882円

・復興特別所得税の控除限度額:397円

道府県民税の控除限度額:2,266円

・市町村民税の控除限度額:3,399円

・合計:24,944円

 

控除限度額が外国所得税の30,000円を下回っていますが、ケース1よりも返ってくる税金が多くなっています。

 

 

まとめ

控除限度額は、ほぼ下記の式で決まります。

 

所得税の控除限度額 = その年分の所得税の額 ×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)

 

控除限度額を大きくするには、①その年分の所得税の額か、②(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)のどちらかを大きくするしかありません。

 

給与収入が多くなれば、②は小さくなりますが、累進課税で①が飛躍的に大きくなるので、控除限度額は大きくなります。

 

逆に給与収入が少なくなると、①は小さくなりますが、②が大きくなるので、場合によっては、給与収入が少ないほうが控除限度額が大きいということもあり得るようです。

 

この辺りは、頑張れば最適解みたいなのが見つかりそうですね。

めんどくさいのでやりませんが。

 

まあ、実際は配当金を総合課税で申告する場合もあるのでもっと複雑ですが、大体の目安みたいなのを掴んでいただければ幸いです。

 

もし間違いがあれば教えてください。